公益財団法人川喜多記念映画文化財団

千代田区一番町18番地 川喜多メモリアルビル

川喜多賞

第19回川喜多賞
市川崑氏 映画監督


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●選考理由
 「花ひらく」(1948年)から「どら平太」(2000年)まで監督作品(監修、共同監督、協力監督を除いて)は80本以上に上る。その意表を衝くアイデア、斬新なスタイル、駆使された最先端の映画技術を考えると、この数字は驚異的というほかない。内容も「ビルマの竪琴」「炎上」「鍵」「野火」「こころ」「細雪」などの文芸名作、「雪之丞変化」などの時代劇、「犬神家の一族」などの推理サスペンス、「プーサン」などの風刺コメディ、「三百六十五夜」などのメロドラマ、「東京オリンピック」などのスポーツ・ドキュメンタリー、と多彩を極め、あらゆる映画ジャンルを網羅している。発展期のテレビドラマにも優れた業績を残すなど、その意欲的な活動は映画界の域を越え、日本の映像芸術全般に刺激を与えつづけてきた。
 国際的にも、ヴェネチア国際映画祭サン・ジョルジオ賞(「ビルマの竪琴」、1956年)、カンヌ国際映画祭審査員賞(「鍵」、1960年)、ロカルノ国際映画祭ヴェラ・ドーロ賞(当時の最高作品賞、「野火」、1961年)、英国アカデミー・フラハーティードキュメンタリー賞(「東京オリンピック」、 1966年)、東京国際映画祭審査員特別賞(「四十七人の刺客」、1994年)、ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・カメラ賞(全業績、2000年)と、その受賞歴は長期にわたり、溝口、小津、黒澤と並ぶ《日本の四大巨匠》の一人という評価を受けている。
 最近でも、トロントのシネマテーク・オンタリオが《ラスト・センセイ》と題する市川崑特集(26本)を編成して、7月から北米13都市での巡回上映が始まり、英国でも同様の上映企画が進んでいる。そして、85歳(1915年11月20日生まれ)の今も、次回作に取り組む現役監督である。

      

贈賞式の模様(2001年7月27日)


川喜多賞本賞の宝塔をお受け取りになる、市川崑氏


ご挨拶をされる市川崑氏




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