モントリオール世界映画祭
FESTIVAL DES FILMS DU MONDE
2005/8/26-9/5
受賞結果
Grand prix des Amerique
(最優秀作品賞)
 OFF SCREEN by Pieter Kuijpers
  (Netherlands/Belgium)
審査員特別賞  「いつか読書する日」 緒方明監督
 SNOWLAND (SCHNEELAND)
  by Hans W. Geissendorfer (Germany)

監督賞  KAMATAKI by Claude Gagnon (Canada/Japan)
最優秀女優賞  ADRIANA OZORES for the film HEROINA
  by Gerardo Herrero (Spain)
最優秀男優賞  JAN DECLEIR for the film OFF SCREEN
  by Pieter Kuijpers (Netherlands/Belgium)
国際批評家連盟賞  KAMATAKI by Claude Gagnon (Canada/Japan)
観客賞  KAMATAKI by Claude Gagnon (Canada/Japan)


*日本からの出品作品はこちらから


概観
 
多くの課題を抱えての開催となった第29回モントリオール世界映画祭。スポンサーの多くが撤退したことによる予算大幅減の影響はやはりあちこちにうかがえた。出品作品数の減少をはじめ、全体的に規模が縮小され、催し物も簡素化されていた感は否めない。スタッフの入れ替わりも激しい回であったためか、ゲスト対応などオーガニゼーションにも不備がやや目立ったのは残念であった。とはいえ、同映画祭のモントリオール市へ寄与してきた功績を称え、支持を続ける映画好きの市民や地元映画関係者も少なくはない。市民にとってはかねてから馴染み深い、この季節を代表する文化イヴェントとして総じて好意的に受け止められてきただけあって、今年も街中でプログラムを念入りにチェックする人々の姿は健在であった。出品作品は例年に較べ100本ほど減の342本(うち長編180本、中編14本、短編148本)。カタログの厚みもずい分変わった印象だ。しかし従来が多すぎたわけで、かえって観客にとっては選びやすくなったといえなくもない。
(写真上:観客たちで賑わう上映会場の入り口)


 今回の審査員にはテオ・アンゲロプロス監督や女優のアンナ・カリーナを迎え、チェン・カイコーやマギー・チャンのトリビュートを組み彼らを招聘するなど、映画祭総代表・セルジュ・ロジック氏の長年にわたって築き上げてきたフランス映画界・中国映画界との強固な結びつきを示した。同じモントリオール市内に複数の国際映画祭が乱立する事態になってしまった今、大きな岐路に立つ同映画祭の来年以降の在り方が注目される。
(写真左:野外で行なわれたクロージング・カクテルパーティ)





日本からの出品作品
 
日加合作で、日本を舞台にした「KAMATAKI(窯焚)」の受賞ラッシュには目を見張るものがあった。地元モントリオールの監督で、過去には同映画祭で最高賞の受賞経験者であるクロード・ガニオン氏の最新作ということからか、上映は大変な熱気に包まれていたと聞く。映画祭に参加していた主演の藤竜也さんはモントリオールの街中でもさかんに声をかけられたという。「過去に何度か映画祭には参加しているが、これほど温かく迎えられたのは初めて」とも。
(写真右:左より、「KAMATAKI(窯焚)」に出演した藤竜也さん、Matt Smileyさん、クロード・ガニオン監督

 また、やはりコンペ部門に出品されていた緒方明監督の「いつか読書する日」が監督賞を受賞。しっとりと大人の情感を漂わせた作風が、落ち着いた作品を好む傾向にあるモントリオール映画祭の観客及び審査員に深い印象を残したようで、記者会見でも興味深い質問が相次いで出ていた。他に「メゾン・ド・ヒミコ」の犬童一心監督も駆けつけ、ちょうど日本で封切られたばかりの同作の、カナダでの反応に手ごたえを感じていたようだった。全体の作品数が減った割には日本作品の存在は相変わらずそれなりの重みを持っていたといえる。
(写真左:中央、「いつか読書する日」の緒方明監督)




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