ベルリン国際映画祭
Internationale Filmfestspiele Berlin
2005/5/11-22

*日本からの出品作品はこちらから


概観
 
ドイツ国内においてはベルリンに次ぐ規模を誇るミュンヘン映画祭。南ドイツを代表する映画イヴェントでもあり、BMWなど地元企業やバイエルン州の強力なバックアップの下、23回目を数えた。ドイツを代表する監督や俳優が相次いで訪れ、彼らの功績を大々的に表彰するなど、ドイツ映画界での位置付けの確かさを感じた。
(写真右:映画祭事務局のある上映会場)
 
 映画祭事務局及び5つある上映会場は(一箇所を除き)、ミュンヘン中心部からやや南の(とはいえ中心部にほど近い)文化施設の多い地区に集まっている。ゲストのほとんどがドイツやオーストリアなどドイツ語圏の人々で占められているせいか、英語字幕のついていない上映も多く、ドイツ語を解さない者としては観られる作品の選択肢がかなり限られてしまい、不便を感じた。とはいえ、各上映会場ともに普段はなかなか目にすることのない、世界中から選りすぐられた作品を堪能する地元の人々で賑わいをみせていた。またドイツ語字幕のついていない外国作品、つまり英語のみ、ドイツ以外の作品で英語字幕のみでもどんどん上映されており、皆問題なく鑑賞している様子(まあ英語力に問題のない人が観に来るわけだが)、ドイツ人の英語力には今さらながら感心した。メイン会場のひとつ、多目的文化ホール・GASTEIGでは映画祭期間中ずっとフィルムラウンジが設けられ、毎日ハッピーアワーとしてドリンクが供され、パーティも多く、映画祭ゲストの集いの場を作ろうと心がけている様子が覗えた。数あるイヴェントの中でも特筆すべきはミュンヘン映画祭名物ともいうべき、イーザル川での筏下り。映画祭ゲストのほとんどが参加、南ドイツの自然を垣間見る機会を得た。
(写真上:メイン会場のひとつ、GASTEIGの外観)


上映作品
 
ノンコンペ映画祭であるミュンヘンでは、「プレミア」という制約に縛られることも少なく、世界の最新の優れた作品がパノラマ的にプログラミングされていた。大きい区分としてはInternational Programme’、ドイツ映画部門(字幕がほとんどなかったのがかなり惜しまれる)、やはりヨーロッパの真中に位置するドイツの人々にとって、近隣のフランスやイタリアの映画は伝統的に馴染みが深いとみえ、独立した部門となっている。それにラテンアメリカ映画部門、アメリカインディーズ映画部門、児童向け部門、オープンエア部門(今回はロック映画の特集)が加わり、そして今年は特別に‘ジャパン・スペシャル’、日本映画部門となっていた。アジア映画はInternational Programme’の中に数本含まれていたのみであった。
(写真右:GASTEIG内でのレセプション風景)


‘ジャパン・スペシャル’
 
今年のミュンヘン映画祭は‘ジャパン・スペシャル’と銘打って、総数30本以上の大規模な日本映画特集上映が組まれた。木下恵介監督特集、黒沢清監督特集以外はここ10年ほどの間に製作された、さまざまなタイプの日本映画が広範囲に選択されていた。関連企画として日本人監督や関係者を招いてのシンポジウムなど、日本色豊かな映画祭となった。中でも計10本の作品が上映された黒沢清監督は多くの地元メディアの取材殺到、注目の的であった。GASTEIGで行われたシンポジウムには地元ミュンヘンの日本映画ファンと思われる人々、在住日本人が詰め掛け夜にもかかわらず盛況を博した。現代日本映画の問題点、国際映画祭出品の利点について、など活発な論議が繰り広げられ、予定の2時間を大幅に超えた会となった。日本語と英語で進行されたこのシンポジウムにあたっては、映画祭側のオーガニゼーションに多少の不備が目に付き、討議内容が興味深かっただけに残念な思いが残った。



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