2007/5/16-27

Grand prix des Amerique
(最優秀作品賞)

 「おくりびと」 滝田洋二郎監督
Special Grand-prize of the Jury
(審査員特別賞)

 THE NECESSITIES OF LIFE (CE QU'IL FAUT POUR VIVRE)
        by Benoit Pilon (Canada)
最優秀監督賞  THE TOUR (TURNEJA)
       by Goran Markovic (Serbia/Bosnia and Herzegovina)
最優秀芸術貢献賞  TERESA: EL CUERPO DE CRISTO by Ray Loriga (Spain)
最優秀女優賞  BARBARA SUKOWA
  for the film THE INVENTION OF THE CURRIED SAUSAGE
  (DIE ENTDECKUNG DER CURRYWURST) by Ulla Wagner (Germany)
最優秀男優賞  ERI CANETE for the film TEO'S VOYAGE (EL VIAJE DE TEO)
                    by Walter Doehner (Mexico)
 
最優秀脚本賞  WELCOME TO FAREWELL-GUTMANN
  (BIENVENIDO A FAREWELL-GUTMANN) by Xavi Puebla,
   screenplay by Xavi Puebla and Jesus Gil (Spain)
 「誰も守ってくれない」 君塚良一監督
    screenplay by 君塚良一、鈴木智
Innovation Award  IT ALL BEGINS AT SEA by Eitan Green (Israel)
観客賞  THE NECESSITIES OF LIFE (CE QU'IL FAUT POUR VIVRE)
                  by Benoit Pilon (Canada)

Golden Zenith for
the Best First Fiction Feature Film

(最優秀第一作作品賞)

 FOR A MOMENT, FREEDOM (EIN AUGENBLICK, FREIHEIT)
            by Arash T. Riahi (Austria/France)
FIPRESCI PRIZE
(
国際批評家連盟賞)

 THE TOUR (TURNEJA)
       by Goran Markovic (Serbia/Bosnia and Herzegovina)

功労賞  ALAN LADD JR.
 TONY CURTIS
 ISABELLE HUPPERT
*日本からの出品作品はこちらから



ホテル内のインダストリーセンター

概観
 短い夏の間はイベントが目白押しのモントリオールにあって、映画祭は「夏の締めくくり」的な位置付けにあるという。例年よりやや早目の21日にスタートした今年のモントリオール映画祭(最終日がカナダの祝日、レイバー・デーの9月第一月曜にあたるよう設定しているため)。3年前に一切断たれた公的機関の助成金が昨年より一部復活したとはいえ財政事情は依然厳しいらしい。が、オールカラーのカタログや映画祭バッグの復活などをみるに、限られた予算の有効な使い方を習得していっているようだ。同映画祭の創立者・代表のセルジュ・ロジーク氏も各会場やパーティを精力的に回って、健在ぶりを強くアピール。映画祭期間中の事務局、ゲストサービス、DVDブース・インダストリーセンターもすべて同一ホテル内にコンパクトにまとまっている。今回は上映作品数も長編234、中編13、短編208と微減。しかし従来が多すぎたのだ。規模の拡大よりも、現状維持のサイズのまま、内容を充実させることに主眼を置こうとしている様子がうかがえる。恒例となった夜間の無料屋外上映はよほどの大雨でない限り決行され、肌寒い夜にも厚着をして駆けつける観客の姿が多数みられた。一般的に言って(特に日本の場合)、映画祭に駆けつけるのは若者が中心だが、この映画祭に関しては年齢構成がとても特徴的、中高年の男女の多いことに毎回驚きを禁じ得ない。日本ではとても考えられない勢いでひとりで、または2-3人のグループで嬉々としてやって来る。映画鑑賞という文化が根付いているのだろう。(もっとも近年はモントリオールでも映画館に観に来る観客数の減少が著しく、閉鎖に追い込まれる映画館が後を絶たないとも聞く)そしてとても行儀が良く、フレンドリー。30枚・10枚などさまざまなお得なクーポン券を数人で分け合うのもよくあるパターンだそうだ。


開場を待つ人たち

 上映開始前に、プレゼンターが当然のようにひとりでフランス語・英語を使い分けるのをみるとつくづく羨ましく思える。バイリンガル都市なのだと感じる。コンペ作品以外は英語字幕のみのものも多いが、高齢の人々も特に不自由を感じているようには見えない。
 代表者・ロジーク氏とフランス映画界とは密な関係を築いており、フランスからの豪華なゲストが毎回話題にのぼるが、今年は演技派として知られるイザベル・ユペール。モントリオールの街が気に入り、滞在を伸ばしたとも聞く。ユペール氏と並び、トニー・カーティス、アラン・ラッド・ジュニア(プロデューサー)が功労賞を受賞した。





客席の様子

日本からの出品作品
 2年ぶりに日本映画『おくりびと』が最高賞であるグランプリを獲得した。23日の公式上映直後からその完成度の高さが話題となり、何らかの賞を得るのではとの前評判が高かった。滝田監督は次回作に入っていて欠席、また他の関係者の来場もなかったのが残念との声を多く耳にした。そしてもう一本のコンペティション参加作品『誰も守ってくれない』は最優秀脚本賞を受賞。こちらはコンペ作品最後の上映作だったこともあり、君塚監督以下関係者が現地で手ごたえと受賞の喜びをかみ締めた。同じカナダ内のトロント映画祭の注目度が世界的に高まる中、モントリオールの強みはというとこのコンペティション部門の存在ではないかと思われる。受賞を果たした時の日本へのフィードバック効果はそれなりに大きく、今回のように公開のタイミングと合致すればさらに良いだろう。他部門にも例年通り多くの日本映画が選出された。共通しているのは広く大衆に向けて開かれている作品であるということ。高度に前衛的なもの、難解な作品はこの映画祭には向いているとは言い難い。観客のニーズを掌握しているセレクションといえる。大衆に受け入れられ易い作品の製作が盛んな日本の現状と一致している。
 ヴェネチア・トロントといった主要映画祭の挟間の時期ということもあり、数年前から日本のジャーナリストの参加が途絶えており、映画祭事務局もたいへん残念がっている。日本映画をコンスタントに多数上映する同映画祭の模様を取材するジャーナリストがいてくれたら、と今回もその思いを強くした。

 特定の映画人を讃える「オマージュ上映」として、今回は川喜多かしこの生誕100年を記念して、名作の誉れ高い日本映画『生きる』『儀式』『復讐するは我にあり』が上映された。これらの作品は川喜多財団が今年一年を通して世界各地で巡回上映を行っている24本のパッケージうちの3本。200席ほどの会場は『儀式』『復讐』に関しては平日昼間の上映にも関わらず満席。なかなか見る機会のないであろう、骨太の傑作たちに真剣に見入っていた。

 
『儀式』(写真左)と『復讐するは我にあり』(右)のチケットが
売り切れたことを知らせる張り紙






      
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