公益財団法人川喜多記念映画文化財団

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パノラマ

シナリオを書いてみませんか? その1  2012年8月21日掲載

 
 

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●シナリオを書くということ(1)



先日、鎌倉市川喜多映画記念館で、「こどもシナリオ教室」を開いたところ、小学5,6年生のこどもが集まって、シナリオをとても楽しんで書いてくれました。シナリオを書くということは楽しい作業なのです。大人の皆さんもその楽しさを味わってみては如何でしょう。


鎌倉市川喜多映画記念館
「こどもシナリオ教室」の授業風景

 さて、シナリオというものは、映画やテレビ・ドラマを作るときの設計図だといわれています。家を建てるときの設計図と同じ役割を果たすものです。しかし、シナリオは、意外ともっと別の効果ももたらしてくれます。シナリオを書くときは、全体の構成を考えなくてはならないので、意識しないうちに構成力が身について来ます。また、他人との付き合い方の勉強にもなります。「こどもシナリオ教室」の講師新井一樹氏は、シナリオとは登場人物のキャッチボールだと説いていました。AさんがBさんに話しかけるとBさんはそれに反応して答えます。これがシナリオの基本だというのです。話しかけられたBさんはAさんの気持ちを理解しなければ応答できません。そこで、相手の気持ちを尊重する気運が生まれるというのです。楽しみながら、コミュニケーションのイロハを勉強することが出来るのです。シナリオを書くということは、それが映画になったり、テレビで放映されることを期待しなくても、充分役に立つ作業だと思います。

(図1)
クリックすると大きな図でご覧になれます。

 シナリオには三つの要素があります。「柱、ト書きと、セリフ」です。(図1)

 柱とは、その芝居が何処で行われるかを提示するものです。駅とか、公園とか、自宅の応接間とか、撮影をする場所を設定するのです。何処の場所で撮影しようが、自分の書きたいテーマに余り関係なさそうに思われるかも知れませんが、それがどうして非常に密接に関係して来るのです。私は若い脚本家に対して、自分の書きたいことを伝えるために、何よりも先ず、この柱の設定を考えて欲しいと説きました。セリフで表現するのが一番易しいのですが、セリフは音でしかなく、観客の頭の中に残りにくいのです。柱で表現出来れば、それは映像で観客に語りかけてくれますから、もっともアピールすることが出来るのです。 (次のページへ)


 

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