公益財団法人川喜多記念映画文化財団

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パノラマ

日本映画傑作選上映〜AROUND THE 80s〜  2013年6月18日掲載

 
 

 ●シンガポール日本映画祭2013 (6月26日〜7月8日) にて当財団が企画、素材提供に携わった70年代後半〜80年代の日本映画傑作選12作品が<AROUND THE 80s>と銘打って上映されます。

 撮影所システムが崩れ、インディペンデントな映画製作が勢いを増した80年代。これに先立つ時代の作品、もしくはごく近年の作品は海外においても比較的上映の機会に恵まれていますが、80年代作品に関してはかなり限定的となってしまっています。自由な製作が可能になり、ヴァラエティに富んだ作品が次々に生まれた時代。また現在の日本映画界を牽引する監督たちがデビュー、もしくはスタッフとして製作に関わり技を磨いた時代でもあり、現在の日本映画界との連続性を一見できるという意味でも意義深い作品選となっています。当時の空気を色濃く反映する作品、現在も活躍中の諸監督の初期作品など海外の方々に堪能していただきたい、との思いがこもった企画です。

 

上映作品 (製作年順):*うち11本はニュープリント
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『祭りの準備』(’75) 
黒木和雄監督
『太陽を盗んだ男』(’79) 
長谷川和彦監督
『もう頬杖はつかない』(’79) 
東陽一監督
『泥の河』(’81)  
小栗康平監督
『蒲田行進曲』(’82) 
深作欣二監督
『さらば愛しき大地』(’82) 
柳町光男監督
『転校生』(’82) 
大林宣彦監督
『家族ゲーム』(’83) 
森田芳光監督
『魚影の群れ』(’83) 
相米慎二監督
『麻雀放浪記』(’84) 
和田誠監督
『その男、凶暴につき』(’89) 
北野武監督
『利休』(’89) 
勅使河原宏監督


 ●シンガポールに先立ち、TIFF(トロント国際映画祭)シネマテークにて、<THE CATCH:Japaese Cinema of the Eighties>と題し、日本映画傑作選12作の中から11作品が上映され、好評を博しました(3月5日〜4月6日)。

 以下、レビューの抜粋です:


−奔放で不埒な作品から禁欲的で威厳に満ちた作品まで、また亡くなった名匠・勅使河原宏や深作欣二の後期の代表作から北野武のような、規律に縛られない新参作家たちのデビュー作までが幅広くカヴァーされた、’日本映画が最後の輝きを放っていた’とみなされる時代の稀少なプログラムである。
Gilbert Seah,Toronto-Franco.com


−TIFF シネマテークの「80年代日本映画傑作選」からは急激な社会変動の最中にあった、当時の日本の様相が浮かび上がってくる。
Jose Teodoro, Nowtoronto.com


−日本映画はヴァラエティに富んでいて、容易に各作品のカテゴリー分けがしづらい。そしてそれこそが日本映画の魅力である。確固たる映画の歴史の下、日本は一流の作品を生み出し続けている。
Harry Cepka, Toronto Film Scene